第4回オンラインセミナーを開催します

坪井 助仁 博士 (ルンド大学・Principal Investigator)にご講演いただきます。

■日時:2026年 2月 26日(水)17:00〜
 
タイトル:進化能とは何を予測する能力なのか?ばらつきと分岐の整合が示す予測可能性の階層構造

要旨:
進化能(evolvability)は、生物がどの程度「進化しうるか」を問う概念として広く用いられてきたが、その定義は量的遺伝学・進化発生学・マクロ進化学の間で分裂しており、しばしば混乱の源となっている。本講演では、進化能を「予測可能性」という観点から再定義することで、この分裂を整理する枠組みを提示する。まず、書籍『Evolvability』を出発点として、進化能概念がどのような研究史を経て形成されてきたかを概観し、進化能は普遍的な単一概念ではなく、目的に応じて複数の定義が必要であることを確認する。次に、個体群内のばらつき構造(遺伝分散・表現型分散)が、種間分岐の方向を驚くほど正確に予測するという近年の研究成果を紹介する。この「variation–divergence congruence」は、進化が保存された低次元空間で進むことを示唆する一方で、分岐速度が予測と比べて極めて遅いというパラドックスを生む。本講演では、この矛盾を手がかりに、個体群レベルの量的遺伝学的予測が成立する条件と、その予測が破綻する状況を明確化し、進化生物学における予測の階層構造を提案する。最後に、金子・古澤らの生物物理学的研究で展開されたアトラクタや相転移の視点も踏まえつつ、深い進化史における新規形質獲得を議論するために必要な進化能の測定戦略と研究課題を提示する

上部へスクロール